9月に来日するドン・ロスの盟友「
オリバー・スコーラー」が先週亡くなったそうです。
白血病を発病し、治療中だったことは聞いていたのですが。
オリバーは素晴らしいフィドラーであり、アーティストでした。
20年前、
ドン・ロスとオリバー、そしてドンの亡くなった前妻ケリーで、
「ハーバード・トリオ」という素敵なトラッド・バンドをやっていました。
トロントで僕はその前座としてソロで何度か演奏しました。
地下にある楽屋で、緊張の面持ち(だったのでしょう)でウォーム・アップしている僕のところに「ヘイ、カツ、どうだい?」と、オリバーがフィドルを手にやって来て、
「よし、最初にやる曲をやろう。キーは何だい?」と、即席セッションをしました。
オリバーが入ると、いつもソロで弾いている曲が躍動感溢れ、全然違う曲のように感じられました。
そのお陰か、本番でも僕はソロで中々イイ演奏ができたと思います。
それ以来、リハの最後に本番で1曲目に演奏する曲を通すことが習慣になりました。
トロントでは楽しい思い出がたくさんあって、その多くの中には必ずドンやケリー、そしてオリバーが居たのですが・・・。
14年前、久しぶりにカナダのドン・ロス家を訪れた僕たち家族を、フィドルを小脇に抱え会いに来てくれたのが最後になってしまいました。
長身で、時に気難しく、またユーモア溢れる人でもあったオリバー。
きっとあちらでも、飛び切り美しくアバンギャルドなフィドルを奏でていることでしょう。